害虫忌避にニームはなぜ効くのか?
ヒガン花が咲いていた
ニームのアレロケミカルズとアレロパシー
昔は、田圃の畦には必ずヒガンバナが咲いていました。
ヒガンバナを植えると不思議にネズミやモグラが来ないのです。
田圃に、緑肥、イナワラ、モミガラ、フスマを施用すると雑草が少なくなります。
レンゲやクローバーも同じです。
どこの田圃にもレンゲの花が咲いていたのはそのためだったのです。
混植といわれる栽培法があります。
ネギ属とトマト、キュウリ、スイカなどを混植すると病気が発生しないのです。
長い農業の経験から得た知識でした。
アレロバシーとアレロケミカルズ
これら不思議な現象もやがて科学的に解明されていきました。
その植物がもっている天然の物質が体外に放出され、
これが他の植物や昆虫、微生物、小動物、人間などになんらかの影響を及ぼす現象を、
「アレロパシー」(他感作用)といいます。
また、この天然の物質を、
「アレロケミカルズ」(他感物質)といいます。
植物は、自己防衛本能のために、このような物質を生産しているのです。
とくにその作用が著しいといわれているのが、
除虫菊、タバコの葉、ワサビ、カラシ、ニンニク、ハッカ、ヨモギ、クローバーなどです。
農家の方々は、アレロパシーなどということは知らなくとも、
経験的にその作用を知り、これを農業に活かしてきました。
だが、科学者はその謎を科学的に解明しました。
そしてこれを「農薬」の誕生に結びつけたのです。
植物のアレロケミカルズこそ農薬の原点だったわけです。
現代農業の課題
やがて日本の農業は、
厄介な病害虫も農薬さえ使えば簡単に解決できる農業が主流になりました。
農薬全盛の時代がやってきたのです。
肥料も、手軽で便利な化成肥料が中心になりました。
昭和40年頃からずっと現代まで、そんな時代が続いてきました。
ところがいま、「食の安全」が叫ばれています。
現代農法による農薬の有害性と化成肥料による土壌疲弊(ミネラル欠乏症)が指摘されだしたのです。
しかも、安全ばかりでなく美味も要求される時代になりました。
昔ながらの有機無農薬栽培法が見直されてきたのです。
そのため、農薬に替わる人畜無害の病害虫対策と美味を満足させる農業資材の開発が、
現代農業の課題として大きくクローズアップされてきています。
勿論、農業ばかりでなく、環境保全という視点から見ても、
農薬と化学肥料による土壌汚染は著しく環境を損なうものです。
不健康な土壌が環境に良いわけがありません。
その意味でも現代農業は食の安全に加えた環境の安全も追求することが大きな課題となっているのです。
やがてニーム全盛に
病気対策には、MS-01菌の強力な働きを利用した「
土壌改良剤・クリーンTB21エース」、
健康な成長を促すための「
総合ミネラル・天然ミネラル- 1」、
害虫対策には「
ニーム顆粒」という3本柱で対処する栽培法を「特別ミネラル栽培法」と称しています。
本稿はニームにおけるアレロケミカルズとアレロパシーが主題ですから、
特別ミネラル栽培法の大きな柱である害虫対策資材としてのニームに絞って話をさせていただきます。
さて、農業者なら誰もが苦しめられる害虫対策にはニームが有効です。
インドでは大昔から天然の樹木・ニームを虫下しとして利用してきました。
いまでもニームの枝をちぎって歯磨きとして使っているそうです。
そんな安全な天然素材を利用して害虫に立ち向かいます。
ニームのアレロケミカルズが発するアレロパシーを利用しての害虫対策です。
しかも天敵には無害で害虫にのみ強力に忌避効果を発揮するというのです。
まさにニームは天然素材の安全な「農薬」といえるでしょう(現在、農水省に特定農薬認定申請中)。
すでに欧米の農業先進国における害虫対策はニームが主流になっています。
いま、田圃の畦には、ヒガンバナに替わるアレロケミカルズ剤として、
アジュガの花を植える手法が広がってきています。
この発想が農業全般に活かされ、殺虫剤に替わってニームが普及するのも時間の問題といえるでしょう。
その証拠に、大手農業資材商社がニーム顆粒の販売に着手し始めたのです。
売れ筋商品にはとくに敏感な商社です。
ニーム商品の将来性を見込んでの販売着手であることは間違いありません。
とはいえ、安全資材が普及することはいいことです。
有害な殺虫剤が店頭から姿を消す日が近いのかもしれません。
ニームのアレロケミカルズとアレロパシー
それでは、ニームのアレロケミカルズ(他感物質)と、
アレロパシー(他感作用)について、
もう少し詳しく触れてみましょう。
ニームのアレロケミカルズを形成する活性成分は「アザチラクチン」といわれます。
コーヒー豆や茶の葉の活性成分がカフェインやタンニン、
タバコの葉がニコチンであるのと同じです。
田圃に緑肥、イナワラ、モミガラ、フスマを施用すると雑草の発生を抑制するのも、
アレロパシーの効果であることがわかっています。
このアザチラクチンの作用がもたらす害虫防除作用が科学的に解明されるとともに、
ニームは、天然害虫対策資材として一躍脚光を浴びることとなりました。
従来の殺虫剤と比較して次のような特徴がわかってきたのです。
無毒性、生分解性だから環境にやさしい。
神経毒作用(殺す)ではなく害虫忌避、摂食障害による防除である。
害虫の産卵、孵化を阻害する。
益虫を殺さないので、天敵が残る。
害虫に耐性がつかない。
このニームの特徴が判明すると同時に、
農業先進国ではただちにこれを農業にとりいれることとなりました。
ニームの実を絞って製造したニームオイルは葉面散布剤として、
その絞りカスであるニーム顆粒を土壌散布剤として活用したのです。
そして予測通りの効果が得られ、欧米農業先進国では、害虫対策資材の主流となっています。
なお、日本農業新聞(1999.4.20付)は、(ニームの)「アザチラクチンという成分が家畜につく
ダニやイナゴ、ゴキブリなど多くの昆虫を殺虫、
又は幼虫期にホルモンに作用して脱皮時に死亡させる。
ネマトーダ(土壌センチュウ)に対しても有効」と報じています。
まさにニームのアレロケミカルズとアレロパシーは、
これまでの殺虫剤に替わる安全な害虫対策資材を生み出す「秘密兵器」といえるでしょう。